J850 書く 授業記録

「J850 書く」の授業記録用ブログです。

第三回 目的の提示の仕方、第5課

基本情報

参加学生:10名

 

授業内容

1.要約文の作成(15分)

遅刻した学生以外の全ての学生が15分以内に要約文を完成させていた。

2.前回の要約文(『アナと雪の女王』)のフィードバック(15分)

受講生の書いた要約文から例を3つ挙げ、プリントとて配布。

要約のポイント

①第一文目に何を書くか?

ほとんどの学生が「~~の映画『アナと雪の女王』」と書き始めていたが、「~~」の部分には、重要な情報を入れるべき。文法的に正しくても、重要度の低い情報が入った文章を最初に持ってくるのは、新聞記事の要約文としては相応しくない。

②重要な情報を見落とさない

新聞記事では、重要な情報が第一段落目で提示されがちだが、第二段落、それ以降でも、要約文に書くべき重要な情報を見落とさないようにすること(今回の要約文では、日本で公開される外国映画は一般的には字幕版が人気である。→そのために、『アナ雪』が吹き替え版が人気であることがイレギュラーであるという情報)。

③「さらに」「異なる」「従来の」を使ってみよう

「それに、今までと違って」より、「さらに、従来の日本映画と異なり」とした方がレポートには相応しい。

3.作文フィードバック(10分)

今回の作文は、作文の構造よりも、文型の間違いが目立ったので注意。

作文のポイント

①「しかし」を使って重要情報を目立たせよう

「Aの実験では、Bが明らかにされた。しかし、Cは明らかになっていない」
というパターンの文章を用いるとき、「しかし」が抜けても、文章として間違いではないが、自分の主張を目立たせるためには、「しかし」を入れるべき。
(「但し」でも間違いではないが、「但し」は補足的に使われる語であるため、主張が弱くなる)。

 

②引用をする時の表現に注意

a) Aの実験では、Bを観察することである。
b) Aの実験では、Bを観察した。

→ 序文で、先行研究の紹介をするときには、b)を用いる。

c)Aの実験によって、Bが分かった。
d)Aの実験によると、Bが分かった。

→ 序文で、先行研究の紹介をするときは、d)を用いる。(c)のような表現は、Aの実験の内容が詳しく説明された後に用いられることが多いため、序文ではあまり使わない)。

4.グループに分かれ、作文の確認(15分)

2グループに分かれ、お互いの作文を見せ合いながら宿題をチェック。

 

5.第5課の説明(15分)

注意事項

・「AはBである」と「AとはBである」の違い。
 →どちらを用いても間違いではないが、後者の方が、「定義」が明確になる。

・「用いる」を使おう
 →「使う」と意味はほぼ同じだが、「用いる」の方が具体的。

・「行った」「行われた」の違いに注意
 →「(筆者が)実験を行った」「(筆者以外の人・機関によって)実験が行われた」の違いに注意すること。

 

授業メモ

・文法的な間違い<適切な表現

「要約文では一文目に書くのは重要な情報」
「「持つ」よりも「用いる」を使った方がいい」
「「AによってBが分かった」は序文ではあまり使わない」
など、「文法的には間違いではないが、表現としては相応しくない」表現を取り上げ、その理由を説明する場面が多かった。

→ この授業に参加しているのは上級の学生なので、文法的な間違いについては、自分の知識や、他の学生とのディスカッションで補うことができる。そのため、「レポートではこういう表現を使うものだ」という、より、自然な日本語を使うための指導を中心に行っていくことが重要。

 

・宿題提出の徹底

出席学生は毎回10人はいるのに、宿題を提出しているのは出席学生より少ない。
この授業は「宿題の提出→授業でのフィードバック」をセットで行って初めて学習効果があるため、「宿題の提出と毎回の出席」が重要であり、成績にも影響することを、もう一度、周知した方がいいかもしれない。

 

・グループ分けの難しさ

この授業ではグループに分かれて学生同士で話し合いを行っているが、毎回、活発に話し合われているグループと、そうではないグループが生まれてしまっているように感じる。
学生同士で何を話し合ったか、話し合った後に、「この人の作文のここがよかった」など、「こういう表現があって面白かった」、「ここがよく分からなかった」など、グループごとに一言ずつ何かを発表してもらってもいいかもしれない。

 

今後の課題

グループに分かれた後、学生がどのような空気で話し合っているのか、また、どの学生がどんなキャラクターを持っているのかがまだよく掴めていない。
来週、学生の間に入って、作文を見せ合うときに、学生たちが何を話し合っているのか、学生の目線で確かめてみたい。