第9回 同意と反論、結論の書き方
授業の流れ
1.要約FB
自動詞があっても受身を使う文型の練習。
- 例:老朽化が進む。
老朽化が進められた × → (誰かが)進める
老朽化が進んでいる ○ → 自然と進む
→ 受身を使う場合、「誰かが意図的に」進めるというニュアンスが含まれることに注意。 - 例:仏教は中国を経て日本に伝わった。○
(自然と伝播してきた)
仏教は中国を経て日本に伝えられた。○
(誰かが日本にわざわざ伝えに来た) - 例:生徒の反対があったが、先生の意見で校則が変わった。○
(中立的な視点)
生徒の反対があったが、先生の意見で校則が変えられた。○
(生徒の視点)
2.要約(15分)
3.作文FB
- 引用をするときには、引用をただ並べるのではなく、その引用をした根拠が分かるように書く。(自分はその意見に賛成か、反対か。その意見を引用することで何を言いたいのか)
4.第13課、第14課(結論)
断定度の違いに注意
- 歩くのは健康によい。→ 断定している(断定度が最も高い)
- 歩くのは健康によいと言える。 → 断定度は高い。
- 歩くのは健康によいと言えよう。 → 「言える」より低い。
- 歩くのは健康によいと考えられる。 → 「言える」より低い。
- 歩くのは健康によいと思われる。 → 「考えられる」よりも低い。(分野によっては避けられる表現)
筆者の見解ではなく、一般的に言われていることを表す表現
- 歩くのは健康によいと言われる。
- 歩くのは健康によいと言われている。
- 歩くのは健康によいと考えられている。
感想
- 基準となる学生を見つける。
学生の特徴、レベル、キャラクターも分かってきているので、「この学生が間違えているということは、ほかの学生も分かっていないのではないか」というような推測ができるような、授業や文法の理解度の基準となる学生を見つけると授業内容を決めやすくなる。 - 学生の特徴に合わせた指導
授業も後半に入り、学生たちの作文能力が上がってきたことで、学生の日本語の癖(連体修飾の多用、「~上に」の多用など)が見えてくるようになってきたため、学生に合わせて、個別に文法書を紹介するなどの対応が必要になってきた。個別に指導するべきか、授業で取り上げるべきかの判断が難しいが、その判断のためにはそのような間違いをしてしまう原因を把握するとともに、学生のレベルや癖を把握しておくことが重要であると感じた。
- レポート作成に向けての考察力
学生によっては、日本語の表現には多少問題が見られても、考察力があるのでレポート作成力はあったり、要約や宿題はうまくこなせてもレポートを作成するためのリサーチ力や考察力が足りない学生がいたりする。この授業は日本語の表現を扱うので、考察力についてまでは指導の手が回らないが、授業の後半になってくると、レポート作成に向けて考察力が問われてくるので、グループディスカッションやFBの際に、考察力のある学生の回答をうまく活用できるようにする必要があると感じた。